イベント
「法整備支援の研究」全体会議
- 開催日時
- 2012年02月11日~2012年02月12日
- 会場
- 名古屋大学文系総合館7階 カンファレンスホール
- 主催
- 名古屋大学大学院法学研究科
名古屋大学法政国際教育協力研究センター(CALE)
- 助成
- 日本学術振興会アジア・アフリカ学術基盤形成事業(2009-2012)「法整備支援のためのンタラクティブな比較法研究拠点の強化」 国際化拠点整備事業費補助金「大学の世界展開力強化事業」
- 言語
- 日本語・英語の同時通訳
「法整備支援のためのインタラクティブな比較法研究」
[会議趣旨]
法整備の分野において、アジアで最初に近代的な法整備を行った日本は、主に、明治憲法下はドイツ法の影響を受け、第二次世界大戦後はアメリカ法の影響を受けた。この点で、日本法への外国法の影響は異種混合であった。そして、日本に移植された法は、その土壌に根付くとともに、独自の進化を遂げている。
そして、こうした歴史をもつ日本法は、1990年代から21世紀に入ると、グローバル化の影響を大きく受けて、従来の国内法という枠を超えた新しい変化・進化の道を進むことになるとともに、市場経済移行諸国(ベトナム、カンボジア、モンゴル、ウズベキスタン等)に対しても法整備支援を行うようになる。
アジアの市場経済移行諸国への法整備支援は、アジア諸国における法の変化・進化をみることを通して、日本法の歴史と現在を、アジアの視点と双方向の視点で考える契機となっている。さらに、法整備支援の「空間」においてはドイツ、アメリカ等の欧米諸国と、かつてそれらの諸国の法を「継受」した日本が、今日、共にドナーとして、事実上協働し法整備支援の活動に従事するようになっている。そして、レシピエントであるアジア市場経済移行諸国は、ドナー諸国の法を、自主的に参照し、取捨選択することを通して、自国の法を進化させている。このように、多方向で相互に影響しあうようになった法整備支援の「空間」という次元において、新しい比較法学が展開する可能性が生まれている。日本の従来の比較法学が、後発資本主義国の法として進化してきた日本法について、もっぱら欧米諸国の法との異同をみることで、その発展段階を確認することに力点があったのに対して(受信型比較法)、今日の新しい比較法学は、かつて自らの「教師」であった欧米ドナー諸国の法だけでなく、レシピエント諸国の法とのあいだでも、日本法を重層的に比較する作業を開始しており、これは、比較法学のパラダイム転換といえる(発信型比較法)。
以上の近時の法現象に対峙するとき、われわれは、法の変化の複眼的で多層的な比較が必要であり、この視角から、ドナー諸国とレシピエント諸国法学者が協働して、新しい比較法の理論をつくることが求められている。
以上の視点から、第一部では、欧米および日本がドナーとして活動し、レシピエント諸国に対して自国の法をそれぞれ発信していることを踏まえ、また、レシピエント諸国がそれを受信し、かつ、取捨選択して、自国の独自の法を発展させていることを踏まえて、ドナー諸国とレシピエント諸国の法学者が、一堂に会して、この法整備支援の「空間」に生まれた新しい比較法の登場とその課題について、それぞれの立場から、その経験を踏まえて、理論化に向けた議論をおこなう。第二部では、この法整備支援の「空間」に、このところ、ドナーとして参入し始めた韓国および中国の法学者を招いて、ドナーとしての東アジア諸国間およびアジアのレシピエント諸国との多方向の法支援および協力のあり方、そして、欧米諸国の法整備支援との違いについて、法曹人材養成分野を中心に議論する。
【プログラム】
1日目<2012年2月11日(土)>
13:00 開場・受付開始
13:30~13:45 開会式
開会挨拶:市橋 克哉(名古屋大学 法政国際教育協力研究センター長)
来賓挨拶:山下 輝年(法務省法務総合研究所 国際協力部長)
鈴木 多恵子(日本弁護士連合会 国際司法支援センター事務局長)
加藤 政也(日本司法書士会連合会 常務理事)
佐藤 直史(独立行政法人 国際協力機構 国際協力専門員、弁護士)
第1セッション:パートナー間の対話(1)-中国、ベトナム、ウズベキスタン
司会:コン・テイリ(名古屋大学法政国際教育協力研究センター 准教授)
13:45~14:30 基調講演:”The Rule of Law in China: Challenges and Prospects”:
Randall Peerenboom(メルボルン・ラトローブ大学 教授)
14:30~15:00 質疑応答
15:00~15:15 休憩
15:15~17:15 報告:ベトナムとウズベキスタンにおける法整備支援
-“Legal Assistance in Administrative Law and Suggestions for the
Comparative Administrative Law”:市橋 克哉 (名古屋大学)
- “How we can compare administrative law of each of countries in East Asia” 樹神 成(三重大学人文学部長)
– “Building the Rule of Law in Vietnam: The Ongoing Dialogues”:
Nicholas Booth(ベトナム国連開発 計画政策アドバイザー)
– “International cooperation in the field of rule of law: Potential interaction, aims and priorities”: Khvan Leonid(タシケント法科大学 講師)
18:30~20:00 懇親会
2日目<2012年2月12日(日)>
9:00 開場・受付開始
第2セッション:パートナー間の対話(2)-モンゴル、カンボジア、インドネシア
司会:コン・テイリ(名古屋大学)
9:30~11:00 –“Building the Rule of Law in Mongolia: The Administrative Court Project”:
Tsogt Tsend(モンゴル控訴行政裁判所 裁判長)
–“Building the Rule of Law in Cambodia: Roles of the Donors and the
Recipient”:KONG Phallack (パニャサストラ大学 法律および公益務学部長・教授)
–“Rule of Law and Anti Corruption Movements in Indonesia”:
Tahir Musa Luthfi Yazid(Jakarta International Law Office 弁護士)
11:00~11:15 休憩
11:15~12:30 質疑応答
12:30~13:30 昼食
第3セッション:パートナー間の対話(3)-キャンパスアジアの構想と今後の展望
司会:金 彦叔(名古屋大学大学院法学研究科 特任准教授)
13:30~14:45 報告:中国、韓国、日本 “Heading towards the Campus Asia in Practice: View from China, Korea and Japan”– 「Campus Asia:目標、課題、対策と展望」:范 愉(中国人民大学法学院 教授・名古屋大学大学院法学研究科 特任教授)- 「東アジアにおける法学研究・教育を考える――Campus Asiaをきっかけとして」:権 澈(成均館大学校 助教授)– 「東アジア「ユス・コムーネ」(共通法)形成にむけた法的・政治的認識共同体の人材育成」:宇田川 幸則(名古屋大学大学院法学研究科 教授) 14:45~15:00 Break 15:00~15:40 パネルディスカッション (中国、韓国、日本) 15:40~16:30 質疑応答 16:30~16:40 閉会挨拶:鮎京 正訓(名古屋大学大学院法学研究科長)
連絡先:
名古屋大学 法政国際教育協力研究センター
e-mail:cale-jimu@law.nagoya-u.ac.jp