Mission 02

法学教育支援

アジア諸国で求められている、自国の法律を 自らつくり運用できる人材を育成します。

アジア諸国における法学教育支援の重要性

新しい法を自らつくり、 運用できる人材を育成

法整備支援の大きな柱は人材育成であり、教育機関としての特徴を生かし、長期的人材養成を重視しています。法整備支援によって新しい法律ができると、それを運用する人材が必要であり、そして自国の法を自らの手でつくりあげることができる人材を養成する必要があります。支援対象国では、時代に合った法学教育や体制の確立が遅れ、外国からの支援が求められています。これに対し、法学研究科では、実際の立法・行政活動に携わる実務家や、次世代の法律家を育てる研究者を養成するため、これらの国々から多くの留学生を受け入れて教育を行なっています。

なぜ日本法を学ぶのか

自国の法を整備するためのモデルとして、 日本法を提供

日本は明治以降欧米法を継受するとともに、それを日本社会に適合する法として独自に発展させてきました。植民地法を土台に発展したアジア諸国法にとって、日本法の発展の経験から学ぶことは多く、またアジア的な文化要素を持っている日本法は、アジア各国にとってモデルのひとつとなり得ます。これまで日本政府の起草支援により、日本法をモデルに法律がつくられたアジア各国にとって、日本法に精通した専門家の養成が求められています。また、日本は比較法研究が発展しており、日本での研究活動を通して、世界の法律に触れる機会にも恵まれています。

日本法に精通した専門家の養成など
さまざまな法学教育支援を推進しています。

英語による日本法教育

「英語コース」の開設により、 アジア諸国の実務家・研究者を 養成

長期的な法学人材養成ニーズに基づき、大学院法学研究科に1999年に「英語コース」を開設しました。文部科学省奨学金、JICA長期研修員制度、人材育成支援無償(JDS)事業などにより、実際の立法・行政活動に携わる実務家や大学教員を留学生として受け入れ、人材育成を行っています。

写真は、愛知県弁護士会国際委員会協力による法学研究科特殊講義Japanese Judicial Institutions(小川晶露弁護士ほか担当)の授業の一環である東京研修のものです。

修了生のネットワーク

日本主導の 世界的ネットワークを 形成

修了生の多くは、行政・司法機関、大学などの中核的な役割を担い活躍しています。各国では、名古屋大学同窓会の支部が設立され、修了生のネットワークを形成しています。

カンボジア

司法省政務長官
国立経営大学学長
郵便・電信省政務次官/私立パンニャサストラ大学法・公共政策学部学部長
汚職対策機構補佐官
大臣会議・法律家委員会委員/私立カンボジア専門大学学長
王立法律経済大学大学院課程長
カンボジア開発評議会法務・投資法局長

ラオス

最高人民裁判所副長官
最高人民裁判所判事
首都ヴィエンチェン人民裁判所主席裁判官
国会議員/国会選挙区部門副議長
国会議員/ラオス国立大学法律政治学部長
治安省補給総局車両管理輸送局長
治安省犯罪捜査局長
治安省移民局次長
司法省人事局部長
ラオス弁護士委員会監査役

モンゴル

最高裁判所判事
首都民事高等裁判所裁判長
民事地方裁判所判事
モンゴル国立法律研究所事務局長
モンゴル国立大学法学部長
オトゴンテンゲル大学教授

ミャンマー

連邦法務長官府法助言局副局長
連邦最高裁判所事務次長

ウズベキスタン

国会議員(下院)/大統領直属反汚職庁長官
最高裁判所シニアコンサルタント
内閣チーフスペシャリスト

ベトナム

司法大臣
司法省副大臣
外務省副大臣
最高人民裁判所国際協力局副局長
最高人民裁判所副長官秘書
ベトナム共産党中央委員会総務局副局長
バンブーエアウェイズ副総支配人

海外キャンパス化

アジア諸国の国家中枢人材を
養成し、アジアのハブ大学として展開

アジア諸国の大学と連携して、アジア各地に名古屋大学のキャンパスを設置し、相手国政府幹部をはじめとする若手有望人材に対して、在職しながら名古屋大学の博士号を授与し、アジア諸国の国家中枢人材を養成します。

日本語による日本法教育

社会、文化、言語を理解した、
真の日本法専門家を育成

英語で書かれた日本法の文献は限られており、法令が改正されてもその英語訳の入手には時間がかかるため、英語による日本法教育が困難であることが明らかになってきました。そこで、アジア各地に「日本法教育研究センター」を開始し、その国で法学を専攻する学生に対して、日本語による日本法教育を行っています。

  • STEP 01日本語教育

    現地の大学に在籍する優秀な学生約25名を選抜し、現地に派遣された日本人講師や現地採用の講師が4年間(モンゴルのみ5年間)日本語教育を実施。大学院進学後の研究活動に備え、アカデミックスキルも養成。

  • STEP 02日本法入門

    2年生の時点で日本法の基礎知識となる日本史・公民を学び、3年生以上の学生に対して、日本語による日本法講義を開講。常駐する日本法講師による教育に加え、日本から派遣する講師による現地スクーリング、日本での短期夏季セミナーも実施。

  • STEP 03日本の大学院へ留学

    優秀な卒業生を日本国内の大学院で受け入れ、研究者・高度専門人材を育成。

・日本法カリキュラム・

外国人学生が体系的に日本法を学べるよう独自に編集したテキストを使用して、3年生の「日本の法システム」で、比較法の基礎、明治以降の日本法制史、日本社会と法の関係等の基礎的事項を学び、4年生以降、「民法」等の各実定法の基礎を学びます。