イベント

グローバル化と市場経済移行のもとでの行政法の変化


開催日時
2011年01月30日~2011年01月31日10:30~17:00
会場
三重大学メディアホール(三重県津市)
主催
三重大学人文学部、名古屋大学大学院法学研究科、名古屋大学法政国際教育協力研究センター
助成
日本学術振興会アジア・アフリカ学術基盤形成事業(2009-2012)「法整備支援のためのインタラクティブな比較法研究拠点の強化」 科学研究費「発信型行政法の形成と日本の行政法の複眼的比較のための研究ネットワークの構築」
言語
日本語・英語の同時通訳

~行政法モデルと比較行政法の理論を求めて~

趣旨

アジアで最初に近代化した日本の行政法は、近代国家形成のなかで主にドイツ法の影響を受け、第二次世界大戦後はアメリカの影響を受けた。外国法の影響は異種混合だった。そして、移植された行政法は、日本の土壌に根付くとともに、独自の進化を遂げた。

 日本の行政法は、1990年代からグローバル化のもとで変化するとともに、市場経済移行諸国(中国、ウズベキスタン)に対し行政法整備支援を行うようになる。
アジアの市場経済移行諸国への行政法整備支援は、アジアの行政法の変化との比較で日本の行政法の特徴を考える契機となった。さらに、行政法整備支援を舞台に日本と他の先進国の行政法を比較することで、被支援国としての日本としてではなく(受信型比較)、支援国としての日本の行政法を他の先進国の行政法を比較することを可能とした(発信型比較)。

 市場経済移行諸国の行政法の変化は、市場経済移行とグローバル化が重なり合う状況で進行している。市場経済移行諸国も日本、そして欧米先進国も、同じく、グローバル化の影響を受けている。したがって、グローバル化がもたらす法変動と法空間が、アジア、日本、そして欧米先進国の行政法にどのように影響をもたらしているか、その比較検討も必要となっている。日本の行政法は、グローバル化のもとで、先進国の行政法の変化との比較とともに、アジア諸国と行政法の変化との比較が必要となっている。

 以上のことから、われわれは、行政法の変化の複眼的な比較が必要であり、比較行政法の理論の発展が必要であると考える。
その場合に、現在起きている変化(共時的変化)に、各国の共通性とともに相違があるとすると、各国の行政法の進化の歴史とそれが機能する社会のあり方を検討する必要がある(通時的課題、経路依存性等)。そして、こうした各国行政法の共時的変化と通時的な発展の経路を検討するなかで、行政法の変化と進化を説明する社会理論と行政法モデルが必要であると考えている。
以上の視点から、第一部ではアジアの行政法の変化をどのようにとらえるかについて、第二部はそれに加えて、欧米の行政法の変化を踏まえ、比較行政法の必要性と可能性について検討したい。

【プログラム】

1日目<2011130日(日)>

10:30~10:45 開会式

第一部 グローバル化と市場経済移行のもとでのアジアにおける行政法の変化‐行政手続を中心に

《アジア各国の行政法研究者の報告》

13:001340 “China’s Reference to Extraterritorial Experience in Its Thirty Years of Rule oAdministrative Law”

馬 懐徳(Ma Huaide)(中国政法大学副学長・教授)

13:401420 ” Administrative law transformation in transitional Vietnam: the case of adopting a model of administrative tribunals”

Nguyen Van Quang(ハノイ法科大学行政法学部国家機構研究センター副センター長)

14:201440 休憩
14:401520 “The Cambodian administrative law: the inception under globalization an transition”

THENG Chan-Sangvar, Deputy Director General for Administration and Finance Ministry of Rural Development

15:201600 “State Independent Agencies and Its Impact to Administrative Law in Indonesia”

Zainal Arifin Mochtar (ガジャマダ大学法学部付設・汚職対策研究センター長、講師)

2日目<2011131日(月)>

第二部 グローバル化と市場経済移行のもとでの行政法の変化‐比較行政法の必要性と可能性

10:401120 報告「複眼的比較行政法の必要性と可能性」:樹神 成(三重大学)
11:201200 “Assisting China in the Transformation of its Administrative Law:

It’s Meaning for China and for Comparative Law”: Jeffrey S. Lubbers,

Professor, Washington College of Law, American University

12:001300 昼食
13:001340 “The work of the Council of Europe in the field of Administrative Law”:

Caroline Daly, Advisory Counsel, Office of the Attorney General, Dublin

13:401420 “Europeanization and transformation of administrative law in memberstates”, Matthias Knauff, Substitute Professor, Ludwig-Maximilians-UniversitätMünche
14:201440 休憩
14:401500 コメント:広渡清吾(専修大学 法学部 教授)
15:001520 コメント:小早川光郎(成蹊大学 法科大学院 客員教授)
15:201640 討論(100分)
16:401650 討論総括:白藤博行(専修大学)
16:501700 閉会挨拶:市橋克哉(名古屋大学)

 


連絡先:
名古屋大学 法政国際教育協力研究センター
e-mail:cale-jimu@law.nagoya-u.ac.jp