イベント
国際シンポジウム「国家・社会の変容と法改革」
- 開催日時
- 2006年12月09日~2006年12月10日
- 会場
- 名古屋大学文系総合館7階カンファレンスホール
- 主催
- 名古屋大学大学院法学研究科
名古屋大学法政国際教育協力研究センター
- 助成
- 日本学術振興会「アジア・アフリカ学術基盤形成事業」、文部科学省「世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業」、日本学術振興会「ハンガリー二国間交流事業」
- 言語
- 英語・日本語(同時通訳)
【主旨】
中国、ベトナム、モンゴルおよびウズベキスタンは、グローバル化の中で、計画経済から市場経済へ移行するという過渡期に共通する法の課題を有している。これら諸国の研究拠点との間で実施している共同研究は、こうした共通する法の課題のなかでも、現在、主要かつ焦眉のものとなっている「WTO加盟に伴う国際紛争解決と国内法整備」、「法の支配と立憲主義の確立」、および「過渡期における法と社会の変化」という三つの課題に取り組んでいる。そこで、これら諸国の研究拠点との共同研究の成果を持ち寄り、取りまとめる国際的なセミナーを開催する。第1日目は、過渡期の国家・社会の変容と法の改革をテーマに重層的な比較法研究を行う。第2日目は、WTOとそれをめぐる紛争解決と国内法整備の課題を中心にしてグローバル化の影響とそれへの対応を検討する分科会、国家の変容とガバナントのあり方への影響を見るという視点から、グローバル化のなかでの法の支配と立憲主義の確立の課題を検討する分科会、および、市場経済化にともなう社会の変容と法整備の課題を法社会学的に検討する分科会に分かれて、共同研究の成果を発表し、意見交換を行う。
また、本シンポジウムは「アジア・アフリカ学術基盤形成事業」、「世界を対象にしたニーズ対応型地域研究推進事業」および「ハンガリー二国間交流事業」の共催で実施する。そこでは、アジアの市場経済移行諸国の経験だけではなく、中央ヨーロッパにあって市場経済への移行が終わったといわれるハンガリーの経験を参照し、欧米においてこの種の研究拠点となっていて、名古屋大学と研究ネットワークを形成しているウメオ大学(スウェーデン)との研究交流を行い、そして、グローバル化への地域的対応としてASEANを形成しているインドネシア、マレーシア、ラオス、カンボジア等の東南アジア諸国の経験も参照する計画である。
【プログラム】
12月9日(土)第一日目:総論
09:30~10:00 開場、受付開始
10:00~10:25 開会式
開会の辞 鮎京正訓(名古屋大学法政国際教育協力研究センター長)
来賓挨拶 平野眞一(名古屋大学総長)
佐々木邦彦(文部科学省国際協力政策室開発協力推進専門官)
松尾浩道(日本学術振興会国際事業部長)
全体の主旨説明 市橋克哉(名古屋大学大学院法学研究科教授)
第一部:基調講演
10:25~10:30 司会・主旨説明 定形衛・名古屋大学大学院法学研究科教授
10:30~11:00 基調講演①“Rule of Law in Development and State Building: Conflicting Visions and Approaches”
Per Bergling(ウメオ大学助教授、スウェーデン)
11:00~11:15 コーヒー・ブレイク
11:15~11:45 基調講演②“Legal Reform in Vietnam”
Mai Hong Quy(ホーチミン市法科大学長、ベトナム)
11:45~13:45 昼食
第二部:個別報告 過渡期の国家・社会の変容と法の改革~援助国および被援助国の視点から
セッションの目的:
市場経済への移行またはグローバル化の影響を受けて、市場経済移行国や発展途上国の国家・社会は大きな変容を被っており、これまで比較的その独自性を維持していた法制度も変革の過程にある。こうした全体状況のなかで、欧米や日本はこれらの諸国に対して市場経済化やグローバル化のための法整備支援を行ってきた。本セッションでは、こうした法整備支援の歴史、現状および課題について、欧米の援助国側からみたそれ、そして、アジアの被援助国側からみたそれを提示して、相互に比較検討を行い、その視点や認識の異同を確認するとともに、共通の課題を探る。
13:45~13:50 司会・主旨説明 コン・テイリ
名古屋大学法政国際教育協力研究センター助教授
13:50~14:10 報告①“Law Enforcement in Indonesia from the Perspective of Law and Development: Problems and Solutions”
Hikmahanto Juwana(インドネシア大学法学部長、インドネシア)
14:10~14:30 報告②”Legal Issues accompanied by the Expansion of the Principle of Market Economy in Regulated Industries”
申榮秀(韓国法制研究院副研究委員、韓国)
14:30~14:50 報告③” Democratic Reforms – Basis of Fair Society Formation”
Najimov Makhmud(タシケント国立法科大学助教授、ウズベキスタン)
14:50~15:05 コーヒー・ブレイク
15:05~15:25 報告④”Comparative Method in Political and Legal Sciences”
Peteri Zoltan(ハンガリー科学アカデミー会員/Pazmany Peter Catholic大学名誉教授、ハンガリー)
15:25~15:45 報告⑤”Change of the Role and Function of the Vietnamese State in the Context of Market Economy and International Integration”
Bui Xuan Duc(ベトナム国家と法研究所教授、ベトナム)
15:45~17:15 質疑・討論 コメンテーター:鮎京正訓
(名古屋大学法政国際教育協力研究センター長)
19:00~21:00 懇親会(メルパルク名古屋)
12月10日(日)第二日目:分科会
09:00 開場、受付開始
第一部: WTOとそれをめぐる紛争解決と国内法整備の課題
セッションの目的:
市場経済移行国および発展途上国にとって、市場経済化とグローバル化の進展のなかでWTO加盟は焦眉の課題となっているが、加盟実現に必要な国内法整備は、どこでも困難を伴う問題となっている。本セッションでは、外国投資制度、知的財産権制度、貿易関連法制など具体的な法整備を素材にして、各国の取組みの現状と問題について議論し、解決すべき課題を明らかにする。
09:35~09:45 主催者挨拶 松浦好治・名古屋大学大学院法学研究科長
09:45~09:50 司会・主旨説明 佐分晴夫
名古屋大学副総長/大学院法学研究科教授
09:50~10:10 報告① “Chinese Measures Affecting Imports of Automobile Parts – Has China Chosen a Right Case to Toughen It Out”
莫世健・中国政法大学国際法学院長(中国)
10:10~10:30 報告②”WTO Membership and Domestic Law Reforms in Thailand”
Sakda Thanitcul(チュラロンコン大学法学部準教授、タイ)
10:30~10:50 コーヒー・ブレイク
10:50~11:50 質疑・討論 コメンテーター:川島富士雄
(名古屋大学大学院国際開発研究科助教授)
11:50~13:50 昼食
第二部: グローバル化の中での法の支配と立憲主義の確立
セッションの目的:
市場経済移行国および発展途上国にとって、市場経済化とグローバル化は、その統治のあり方にも大きな影響を及ぼしており、人権保障と民主主義の実現のための立憲主義および法の支配の確立は、なかでも大きな困難を伴った改革課題である。欧米で生成、発展し普遍的なものとなったこれらの原理は、アジア諸国においても受容され、その国の歴史や文化を反映した独自の発展を始めている。本セッションでは、各国におけるこれらの原理の受容の現状や問題点を議論し、その共通性と独自性の相関関係を明らかにする。
13:50~13:55 司会・主旨説明 市橋克哉(名古屋大学大学院法学研究科教授)
13:55~14:15 報告①“Law-Making Process in Ensuring Transparency in the Context of International Economic Integration of Vietnam”
Nguyen Quoc Hoan(ハノイ法科大学比較法センター副センター長、ベトナム)
14:15~14:35 報告②”Legal Development in Lao PDR”
Somphanh Chanthalyvong(ラオス国立大学法学部副学部長、
ラオス)
14:35~14:55 報告③“Rule of Law – at the Crossroads of Challenges“
Varga Csaba・ハンガリー科学アカデミー会員
(Pazmany Peter Catholic大学教授)(ハンガリー)
14:55~15:10 コーヒー・ブレイク
15:10~16:10 質疑・討論 コメンテーター:徳田博人
(琉球大学大学院法務研究科教授)
第三部: 市場経済化にともなう社会の変容と法整備の課題
セッションの目的:
市場経済化とグローバル化は、市場経済移行国や発展途上国の社会のあり方、地域のあり方、家族のあり方、そして、市民生活、経済活動に大きな変化をもたらしている。都市化や工業化による農村や都市の変貌は、土地所有のあり方、私的所有の発展、多様な法関係の生成など民事法領域にも新しい問題を提起している。本セッションでは、民事法分野、法社会学分野の専門家がこれらの社会の変容に伴う法整備の現状と問題を議論し、国ごとの異同とともに共通の課題を明らかにする。
16:10~16:15 司会・主旨説明 宇田川幸則・法政国際教育協力研究センター副センター長/助教授
16:15~16:35 報告①“Land Reform in Mongolia” Gangabaatar Dashbalbar
(モンゴル国立大学法学部講師、モンゴル)
16:35~16:55 報告②“Legal Transformation for Marketization in Cambodia”
Hor Peng(王立法経大学教授、カンボジア)
16:55~17:15 ティー・ブレイク
17:15~18:15 質疑・討論(コメンテーター:楜澤能生・早稲田大学法学部教授)
18:15~18:20 閉会の辞 佐分晴夫・名古屋大学副総長
連絡先:
名古屋大学法政国際教育協力研究センター
e-mail:cale@nomolog.nagoya-u.ac.jp