イベント
国際学術会議「法文の国際的共有を超えて」
- 開催日
- 2008年10月17日(13:30~17:30)
- 会場
- メルパルク名古屋(ダリアの間)
- 言語
- 英語
「法文の国際的共有を超えてー標準対訳辞書の共有、翻訳メモリおよび電子化法制執務ー」
ALIN(Asian Legal Information Network)のウェブページで、「ALINは、アジア地域の法律情報を収集・管理し、また研究する各機関が、法・判例その他の法情報に関する資料・研究成果を共有・交換することを目的とする」ことを謳っている。
アジアにおいても相当量の法情報、とくに制定法の法文、が英訳を通して発信され、国際的に共有されているという事実を前提に、この会議は、単なる法情報の共有を超える可能性について検討することを目的としている。
2007年後半、ヨーロッパ連合(EU)では法律専門用語のデータベースが構築され、無料で公衆の用に供された。IATE(InterActive Terminology for Europe)と呼ばれるそのデータベースは、24の言語に法律用語が翻訳されている(http://iate.europa.eu/)。同年、欧州委員会の翻訳総局は、22の言語に訳したEU法のデータベースへの公衆のアクセスを許可した。この翻訳法令データベースは、アキ・コミュノテール(Acquis Communautaire)」と呼ばれている。このEUの動きは、より構造化された形で法情報を共有する時代が到来しつつあることを象徴している。
このような動きを視野に入れ、今回の会議は、アジアにおけるより構造化された形の法情報共有の可能性を検討することをテーマとした。法情報の国際的共有を考える場合、アジア諸国の翻訳辞書の国際的共有が一つの検討課題になると思われる。なぜなら、標準対訳辞書は、ある国の法令翻訳の一貫性と体系性を確保するために貢献するだけでなく、諸外国がある国の基本的な法律用語がどのように英語(あるいは他の外国語)に翻訳されているかを知る助けとなるからである。英訳された法律用語は、アジア諸国の法令の理解と比較法研究の共通基盤として有益である。
この会議においては、主要な日本法令を英訳する日本政府のプロジェクトのために開発された標準翻訳辞書の開発に携わった日本の研究者がその経験を報告する。この報告では、あわせて、コンピュータを用いた支援ツールを紹介し、ベトナム法の標準翻訳辞書開発に関する共同プロジェクトについても報告する。この報告に基づき、会議では、アジアにおける法情報共有のための共通枠組みの開発可能性を議論したい。
法令翻訳の経験者は、その作業の困難さと危うさを指摘している。この会議では、法令翻訳について幅広い経験を持つ二人の専門家から、法令翻訳の経験と主要な問題について報告を受ける。一貫性のある法令翻訳を行うためには、相当に複雑な枠組みが必要であると思われるので、会議では、この仕組みの重要な側面と国際協力の可能性について意見交換を行いたい。
【プログラム】
13:30 開会挨拶
13:40~14:20 Ⅰ.法文の国際的共有を超えて
報告:松浦好治(名古屋大学大学院法学研究科教授、名古屋大学法情報センター長)
14:20~15:20 質疑応答
15:20~15:30 休憩
15:30~16:10 Ⅱ.法令翻訳の課題
(1) 韓国法の英訳の経験を通して
報告:Mr. Seung-jin Hong (Ministry of Government Legislation of Korea, Government Legislative Officer)
(2) 日本法の英訳の経験を通して
報告:Ms. Carol Lawson (LEGAL COMMUNICATIONS JAPAN (U.S.A), Principal)
16:50~17:00 休憩
17:00~17:20 質疑応答
17:20~17:30 閉会挨拶
連絡先:
名古屋大学法政国際教育協力研究センター
e-mail:cale-jimu@law.nagoya-u.ac.jp