センター長挨拶

s-NU_4307_2.jpg法整備支援を通じ、自己を発見し、共に発展する

 2018年4月から法政国際教育協力研究センター長を務めることとなりました。どうぞよろしくお願い致します。
 このWebサイトでご紹介するように、CALEは、アジアの法・政治に関する共同プロジェクトの推進、アジア諸国の研究者の日本における研究活動支援、日本政府と協力連携した法学関係の調査やアジア地域の法教育の支援等、多岐に亘る活動を行っています。それらの活動の中核にあるのが「法整備支援」ということばです。
 「法整備支援」とは何なのか。これについてはすでに本センターの歴代センター長および多くの優れた専門家が語られています。本来、韓国法の一研究者に過ぎない私がいまさら言うまでもないことなのですが、ここ数年CALEの活動に関わることで、私が改めて気づいたことを一つだけ述べさせてください。
 それは「法整備支援」の原点にあるのは、法的な対話の試みなのだということです。「支援」、「ドナー」、「レシピエント」などということばを聞くと、「困っている人を助ける」というイメージが付き纏います。たしかに法典起草に参加したり、現地の学生に教育をしたりというのは「助ける」側面があるかもしれません。しかし、それは強いものが弱いものを引っ張り上げるというような一方通行の作業ではありません。アジア地域の研究者や実務家、学生と話していて、私たちは自分たちが思ってもみなかった問題点に触れ、今まで持っていた知識が一面的なものであったことや私たちの制度や思考に矛盾があることに気づかされるのです。このような異文化理解を通じた自己の再発見は、比較法が本来持つ醍醐味を肌で感じることでもあります。従来、法学の研究対象となりにくかったアジア地域の人々との協力・交流を通じて、私たちは単にかれらの法を知るだけではなく、より深く、比較法的な視点から法とは何かを考察し、また日本法自体を再検討し、発展させることができると思います。そして、このような営みは法学のみではなく、政治学をはじめとする隣接諸科学の力との協力で、より有為で多面的なものとなるでしょう。
 本センターが「法政」を掲げ、「支援」センターではなく、「協力」や「交流(=exchange)」を名乗ることの意味を考えながら、より多くの日本、アジア、ひいては世界の人々と知的営為を分かち合い、活動を進めていければと思っております。

法政国際教育協力研究センター長・名古屋大学大学院法学研究科教授
國分 典子