センター長挨拶

センター長からのメッセージ

obata.JPG日本の法学・政治学の新たな地平を切り開く。
 2014年4月から、センター長に就任しました。
 私は、これまで、主として「留学生教育」を通じて、名古屋大学法学部・大学院法学研究科のアジア諸国への法学教育活動、法整備支援事業に携わり、これらの国々に対する関心を育ててきました。母国の教育インフラや言葉の問題もあり、指導する教員の労力は相当なものですが、若い人々を育てるということは、現在の世界におけるアジアの地位や日本との関係を考えればなおさら、大変やりがいのある仕事で、私も微力を尽くしてきました。
 このような教育活動のなかで、日本の学界で育ってきた私たちは、自分たち自身の研究上のバックグラウンドの問題性に気づくようになってきました。日本では、欧米の議論との対話を通じて、法学・政治学研究が培われてきました。しかし、固有法/旧体制の法/冷戦後の西欧法の影響といったアジア諸国の重層的でハイブリッドな法状況を知れば知るほど、これまでの欧米社会の認識は一面的で、それを下敷きにした日本法の理解も不十分であることが分かってきました。私は国際法を専攻していますが、こうしたハイブリッドな構造との相互作用の中で、国際法も機能しているという認識の重要性にようやく気づかされたところです。私たちは、アジア諸国との交流で生み出されてきた新しい比較法学・比較政治学の知見を、アジアや日本の若い世代への教育に
生かしていく使命を有していると思います。
 CALEの担う法整備支援活動は、法学教育や研修の機会の提供が中心です。それは、上に述べたように研究とも結びついています。むしろ、日本の法学・政治学が新たな段階に進むための源泉として、停滞が目立つ冷戦後の日本の学界では、際だって豊かなものだったといえるでしょう。今や、新しい研究上の地平を切り開くために、この経験の整理・定着・深化をより意識すべき段階に到達しています。そのための営為は、産みの苦しみとともに少しずつ喜びをもたらしながら、すでに始まっています。このパンフレットを読んでCALEの活動に関心を持たれた皆さん、ともにこの知的格闘に参加しようではありませんか。私も、この大きな課題に挑むことを通じて、成長したいと思っています。

法政国際教育協力研究センター長・名古屋大学大学院法学研究科教授
小畑 郁